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2007年10月 9日 (火)

卒業生にインタビュー 松山由維子

Col_20051130イメージフォーラム映像研究所第21期卒業。以後個人による作品制作、発表を続け、国内外の上映歴多数。 今回、釜山国際映画祭の10周年記念として企画されたAFA(アジア・フィルム・アカデミー)の日本代表2名の内の一人として選抜され、 ホウ・シャオシェンやパク・キヨン等著名な映画監督の直接指導を受ける事となった。 「3週間もの間、アジアの映画作家たちと寝起きを共にして映画制作について学ぶというこのアジア初の試みに大変興味を持った。 また、私のように作品を一人で作る者にとって、大勢のプロのスタッフと一緒に映画制作をし、 傍でその技術等を学べるこの企画は大変魅力的だった。」(松山由維子)釜山国際映画祭

AFA(アジア・フィルム・アカデミー)http://afa.piff.org/eng/index.asp

○応募状況
22カ国、164名の応募の中から、18カ国28名が選出された
○選考基準
・映画制作に関するキャリア 
---必ずしも監督である必要はありません。プロデューサーとして、照明マンとして参加してもOKなのです。TA,FELLOWという2つのくくりがあります。TAはプロフェッショナルな技術や経験がある人で、FELLOWは経験は問われません。とはいえ、選考がありますから、全くの未経験者というのは難しいと思います。(松山)
・英語によるコミュニケーション能力(3週間にわたって、授業も生活も全てが英語で行われるため)

○時間割
<1日目>
ソウル着→宿舎へバスで移動(ソウル空港より1時間ほどの場所:Seoul Sutudi Complex 春史館)
<2日目>
Namyangju Studio Complex のツアー、HDカメラシステムについての講義夜、韓国映画”OASIS”鑑賞とイ・チャンドン監督によるQ&A
<3日目>
HD撮影実習、夜、グループ制作のディスカッション
<4日目>
HDグループ制作、撮影
<5日目>
HDグループ制作、編集、仕上げ、上映
<6日目>
KAFA見学後、釜山へKTX韓国新幹線で移動
<7日目>
映画「恋々風塵」、「ジャン・ダラ」鑑賞。夕刻よりDong Seo University の制作環境を見学→レセプションとパーティ。
<8日目>
撮影スタジオツアー。午後HD,35mmカメラ、照明、サウンド等の実習。夕刻より参加者の作品上映。映画「ラクダ(たち)]」鑑賞
<9日目>
ホウ・シャオシェン氏による講義(演出に関して)、午後より制作前ミーティング
<10〜13日目>
各指導監督の下、2グループに別れ撮影 早朝より夜中まで
<14日目>
午前中休暇、午後よりコダックによるフィルムに関するレクチャー。夜、ホウ・シャオシェン氏による講義(脚本に関して)
<15日目>
35mm、HDカメラを使った撮影実習(撮影監督ファン・キソク指導下)午後よりNEC-DLPによるHDに関するレクチャー。夜、映画「Three Times」をメガボックスシアターで鑑賞
<16日目>
35mm、HDカメラを使った屋外撮影実習(ホウ・シャオシェン氏、パク・キヨン氏指導)。午後より映画製作に関する講義(プロデューサー業務について)。夜、映画「All Tmorrow's Parties」鑑賞とユー・リクワイ氏によるQ&A
<17日目>
午前中メントリング(1対1での面接)、午後ワークショップ。夜、映画「Duelist」鑑賞と撮影監督ファン・キソク氏によるQ&A
<18日目>
午前午後メントリング(1対1での面接)。夜、釜山で制作した短編映画の上映(メガボックスシアター)、サヨナラパーティ、留学助成者発表。
<19日目>
夜、釜山国際映画祭クロージングセレモニー、パーティー参加
<20日目>
帰国

ー資料を見ると、随分濃密なスケジュールでしたね。
最初の一週間はソウルにいて、ハイビジョンのビデオカメラを使ってグループ制作をしました。7人×4グループに分かれて、それぞれ自分たちで脚本を決めて、小道具も揃え、撮影、編集。最終日に上映をして、翌日の朝から釜山に移動しました。
ーじゃあ、ホウ・シャオシェン等に会えたのは?
釜山からです。ソウルでは半分は座学でした。韓国の映画監督がゲスト講師に来て、自作の上映と解説をしてくれました。また、プロデユーサー、ジョナサン・キムの興行成功談とか。残り半分は技術講座でした。プロの使うカメラの扱い方とか、イメージフォーラムの授業で行ったような基礎的な講座です。メディアはパナソニックとソニーのHDカメラでしたが、そういった事を一週間で全部詰め込む訳です。その間に作品を制作して最終日に上映してもらいました。
ーグループ制作の時のコミュニケーションはうまくいきました?
なんとか。英語で困った事というよりも、参加者はほとんどディレクターとして自分で作品を作って来たひとばかりなので、脚本で意見を曲げる人はいない訳です。当然ケンカにもなります。
ーどうやって決着するのですか?
一番しゃべった人が勝ちですね(笑)。インド人と中国人が一番強かったかな?16カ国から参加していて、私のグループはインド人、タイ人、マレーシア人、中国人、韓国人に日本人が2人。でも全員が海外でのきっかけをつかむために参加しているので最終的にはうまくいきました。私にとって収穫だったのが、アジアの作家との交流が持てた事です。欧米やヨーロッパの映画祭にいっても、韓国や中国の作家の他には、なかなかアジアの作家とコンタクトをとる機会がないのです。
ー釜山に行ってからは?
ここからの一週間はほとんどひたすら実践で、2人の映画監督の指導する2グループに分かれての作品制作でした。韓国の監督パク・キヨンのグループとタイの監督ノンスィー・ニミプットのグループです。事前に頂いた脚本を元に15分の映画をグループで完成させ、その完成した作品は釜山国際映画祭の最終日に上映されました。皆がそれぞれに役割を決められて、スタッフとして始終行動するのですが、私の役割はスクリプトスーパーバイザーといって、コンテと撮影した素材の間違いがないかをチェックしたり、前後の整合性を確認する仕事でした。
ーもちろん順調にいくことばかりではないですよね。
そうですね。監督から渡された脚本が予定分数よりも長かったので、撮影の朝の打ち合わせでどんどん脚本が変わっていきました。当然一日の撮影スケジュールも内容も刻々と変化するので、ついて行くのがやっとでした。そういった実体験が随分勉強になりましたね。 あと面白かったのは、授業の中で「いかにしてお金を貰うか」という講義がありました。どんどん映画祭のマーケットにいって、売り込みなさいと。教えられました。
ーできた作品の反応はいかがでしたか?
そう。監督がどのように指示を出して、スタッフや俳優がどのように動いているのかなど、初めてのことばかりで大変興味ぶかい経験でした。本当に色々な事をこなさなくてはならなかったので、参加者や企画側から、次回は授業内容を少し絞ってもいいかもしれないという声もあったそうです。もしくは1ヶ月位で開催するとか。参加者のなかで私のように個人制作をする人はわずかだったので、私は「たくさんの初めての経験」を楽しめた参加者と言えます。スタッフ皆が情報を共有する為にどんな工夫をしているかが大変参考になりました。
ー今後の作品制作に十分影響するでしょうね。如何に自分の意見を通すか、とか。
あとは、どうやったらケンカしてもイライラしないか、とか。言葉が通じる人間とだったら、逆にもっとストレスもたまるだろうし。でも今回の参加者とは仲良くなった人もいて、映画祭を再開の場にと約束しています。だから、これから私にとって国際映画祭は、観客として映画に出会う場所でもあり、作家として同業者に出会う場所でもあるのです。 最終的には、自分にもこのような(長編の劇)映画を作る事も可能なのだ、作ってもいいのだという発想が自分の中に持つ事ができたというのが重要でした。仮にそんな企画を進めたとして、照明や撮影のプロの方とどのように仕事を進めたら良いかという入り口も見せていただいたので、視野がひろがりましたね。 次回、来年の4月に作品を作る計画があるのですが、大分影響されそうです。今回初めて劇映画の世界を垣間みて、改めて個人映画、実験映画に対する自分なりの立ち位置が確認できたような気がします。
ー今までの作品はお互いに見せ合ったりしたのですか
全員ではないですが、プレビューをしました。私以外のほとんどが、いわゆるショートフィルムで、塩が溶ける様子をひたすら接写したような抽象映画(『花』16mm/5分/2004)はもちろん私一人でした。面白いと言ってくれた人もいたし、全然理解してもらえず「あなたは脚本を書くべきだ」と熱く語ってくれた人もいました。
ーホウ・シャオシェン"先生"はいかがでした?
脚本の講座と撮影実習をしていただきました。脚本では、観察と人物像の描き方を、彼の映画『珈琲時光』を素材にお話していただきました。また、屋外撮影実習のときにも”現場の知恵”を見せていただきました。どのくらいまで怒られたら、撮影を止めるべきか(笑)とか。また、イメージフォーラム映像研究所で行っているように、一対一で監督やキャメラマンとお話をする機会を設けていただきました。とても嬉しかったです。
ーありがとうございました。次作を楽しみにしています。(聞き手:澤隆志)

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